九州酒巡り ~4日目~
みなさま、こんにちは!
いよいよ九州酒巡りも4日目。終わりが近づいて参りました…。
本日は博多本店より山口がお送りいたします。
宮崎を満喫した一行が次に向かったのは、熊本県。
急遽、花の香酒造への訪問が決まり、代表の神田さんにご案内いただきました。
花の香さんも造りの模様は見学できませんでしたが、
蔵内部一通りと田んぼ、神田さんの熱い想いをお聞かせいただきました。
まず向かったのは、花の香のお酒の源である田んぼ。
蔵から少し坂道を登ったすぐそばに位置しています。
こちらの田んぼでは「穂増(ほまし)」という珍しいお米を栽培しています。
この「穂増」その昔、江戸時代に熊本を中心に栽培されていたお米で、当時は大阪でも“天下第一”との評価を受けたほどでした。
時代の流れに取り残され一度は作る農家もいなくなりましたが、熊本県の農家さんたちが40粒ほどの種もみから復活させ栽培に成功したお米です。
神田さんは田んぼごとに分け様々な実験を行われています。
こちらの田んぼでは毎日神田さん自ら草むしりやジャンボタニシの卵の除去などを行う徹底ぶり。
周りの田んぼと比べても非常に綺麗に管理されています。
すぐ上の田んぼに移動するとここではジャンボタニシの被害が…
(右手前一帯がジャンボタニシに食べられてしまっている)
(その犯人)
しかしこのジャンボタニシ、稲が育つにつれて害はなくなるそうで、稲が一定のレベルまで大きくなると害虫や雑草などを食べてくれる心強い仲間になってくれるそうです。
そんなジャンボタニシとしばしご歓談。
その後さらに上の田んぼへ。
こちらはあえて雑草を伸ばし放題にしてどうなるか実験中とのこと。
さらに上には堤(※倒木などで自然にできた貯水池のようなもの)があり、養分の豊富な水が蓄えられているスポットがあるそうで、この養分豊富な水で育った米のポテンシャルに期待されているようでした。
“通常の農業用水で育った米”とこちらの“堤の水で育った米”そのテクスチャーの違いもきっとあると、こちらも実験中だそうです。
一通り田んぼを見せていただいた後は、蔵に移動して内部を見学。
おしゃれなエントランスが出迎えてくれます。
こちらは洗米場と蒸し場。
ここには最新の設備が揃っています。
乾燥蒸気の力で絶妙な蒸米を造り出すスーパーシステム。
こちらは酒母室。
瓶内二次発酵中のボトルが並んでいる景色は壮観。
今後は生酛造りをさらに強化していく予定だそうで、生酛用の酒母室を建設途中でした。
こちらは仕込み蔵。
ぜひ次は仕込みの時期にお邪魔したいものです…!
そして製造ライン。
と、一通り見学させていただきました。
蔵見学の後は、神田さんに今後の展望などを含めたお話をお聞かせいただくことに。
神田さんが掲げるのは「和水テロワール」。
花の香酒造のある熊本県玉名郡和水町、その土地の特性を活かした、米作りから始まる酒造り、そして町づくり。
和水町をさらに合併前の昔の村名ごとに細分化し、村の中の土地ごと、さらにはその土地ごとの田んぼ、そしてさらにその田んぼの区画ごとに分けて、個性を理解した上で独自の等級を決める。
昔ながらの生酛造りで酒を醸し、使用する酵母は熊本9号酵母。
地元の土地を研究し、地元の材料を用い、昔ながらの製法で醸す。
ゆくゆくは山を開墾し棚田を作り馬に田を耕させ、日本の原風景を取り戻したいと、神田さんは目を輝かせます。
(開墾予定の小山)
つい10年前までは無名だった「花の香」というお酒。
そのお酒が今や全国にも名を轟かす熊本の銘酒にまでなりました。
神田さんが「和水テロワール」を掲げ、約5年。
今では全量和水町産の酒米を使用し酒造りを行っています。その割合は今や和水町で栽培されるお米の約1割にものぼります。
神田さんのパッションと行動力、そしてそのスピード感には圧倒されました。
この人ならなんでも成し遂げてしまうんじゃないかと、もの凄いパワーを感じました。
この度の大雨で花の香酒造さんも少なからず被害を受けておられます。
たび重なる苦境にも負けることなく、ともに前進していきましょう!
この度はありがとうございました!
今後の展開にも期待しながら、本日はこの辺で。
次回、いよいよ涙の最終回。
次回「くるみ、東京に帰る」編
乞うご期待!
山口
「花の香酒造HP」
http://www.hananoka.co.jp/